06.変態オールバック

※下ネタ








「よおナマエ!教室まで一緒に行こうぜェ」




「ナマエ、一緒に昼飯食おうぜェ」




「なあナマエ、帰りどっか行かねーかぁ?」




「おい、ナマエよぉ、」
「あーもううっせーってばよ!!」
「つーか朝からしつこいぞ、うん!!」


ばんっ、と机を叩いて、ナルトとデイダラが叫ぶ。
うるさいしつこい、と共に詰め寄る先は、クラスメイトの飛段だ。
銀色の長髪を掻き上げながら、何がだよ、と漏らす彼は、今日一日まるで雛鳥のように私の後ろをついて回っていた。
それが傍に居たナルトやデイダラ達の気に障ったらしく、先程からずっと、これだ。
当の私は、それほど気にしてなかったけどね。
いつもナルトやサスケに振り回されてたから、こういうタイプ、慣れてるし。


「つーかよ、お前、なんでそんなにナマエに絡むんだよ?」
「あぁ?んなの、決まってんだろぉ」


面倒そうなシカマルの問いを軽く鼻で笑った飛段は突然、きり、と真面目な顔をした。
それまでの気怠げな笑顔とは違う真剣な眼差しに射抜かれ、思わずどきりとする。
元々顔が整っているせいか、そんな目で真っ直ぐに見詰められたら、ちょっとかっこいいと思っ……








「んなもん、このクラスでお前が一番乳がでかいからだァ!!」
「…………はあ?」




…………何?乳?乳がでかい?

その意味を理解するまで数秒の間をあけてから、ぼんっと顔に血が上るのが分かった。



「なっ、ななな…!?」
「いいよなぁ、巨乳!それで挟んでご奉仕してほぶふぁあ!!」
「ふざけんなってばよ!!」
「ナマエになんて事言ってんだコノヤロー!うん!」
「しゃんなろー死ね変態!!」
「おぶるぉおおっ!?」


両手をわきわき動かす飛段に、ナルトの拳骨とデイダラの蹴りが左右から繰り出される。
とどめと言わんばかりにサクラの鉄拳が顔面を打ち抜いて、飛段は変な悲鳴を上げながら廊下まで飛んでった。




「大丈夫か、ナマエ?」
「う、うん…大丈夫。ちょっと予想斜め上の返答にびっくりしただけ」


まさかのとんでもセクハラ発言に、驚いた心臓を押さえる。
さっきの真面目な顔云々の下り、オールカットでお願いします。私のときめきを返せ。
動揺と苛立ちに、落ち着け私と軽く深呼吸をしていると、くしゃり、シカマルの手が頭を撫でた。


「ったく…あーいうめんどくせーのからは、俺らが守ってやっからよ。ナマエは心配すんな」
「シカマル……うん、ありがとね」
「おう」
「あー!シカマル抜け駆けしてんじゃねーよ、うん!」
「勝手にナマエの頭撫でんなってばよ!」
「…お前らもめんどくせーな…」
「代わりに俺様が撫でてやろーかぁ?頭じゃなくて乳をだけどなぁ!!」
「キモい事言ってんじゃねーってばよ!」
「変態は引っ込んでろ、うん!」
「しゃーんなろー飛段コロス!!」
「うぶふぉおおっ!!」


皆から絶え間無く制裁を受けながらどこか嬉しそうに悲鳴を上げる飛段を横目に見て、ヒナタがこのクラスじゃなくて良かったと初めて思った。










変態オールバック


(こいつは絶対ヒナタに近付けないようにしよう…)